創立50周年記念事業

創立50周年記念式典・講演会・祝賀会を挙行

平成27年10月31日(土)、東京高専は『オリンパスホール八王子』において創立50周年式典及び記念講演会を挙行致しました。

来賓、学生及び、教職員約2,000人が出席する中、本校吹奏楽部により「威風堂々」等の曲が演奏され、荘厳な雰囲気の中で開式しました。

古屋校長が「これまで50年の歴史と伝統を築かれた諸先輩方々に対しての深い感謝の意を表するとともに、未来に向けての新たなる東京高専の発展を決意する」との式辞に続いて、馳浩文部科学大臣(代読:常盤豊高等教育局長)、萩生田光一内閣官房副長官、石森孝志八王子市長、三島良直東京工業大学長からそれぞれご祝辞を頂き、国立高等専門学校機構 小畑秀文理事長より謝辞が述べられました。

記念式典壇上 古屋校長による式辞

吹奏楽部演奏風景

祝辞を述べる文部科学省 常盤高等教育局長

祝辞を述べる萩生田内閣官房副長官

祝辞を述べる三島東京工業大学長

式典後は東京工業大学栄誉教授 末松安晴先生を講師に迎え、「光ファイバ通信と社会」と題し、専門外の学生にもわかりやすい内容の講演が行われました。

末松先生は光ファイバ通信及び半導体レーザの世界的研究者であり、ワルデマー・ポールセン金メダル(デンマーク)、エドワード・ライン基礎研究賞(ドイツ)、IEEEジェームズ・マリガン・Jr.エデュケーション・メダル(アメリカ)、文化功労者、瑞宝重光章、日本国際賞といった様々な賞を受賞されています。さらに、前日(10月30日)に末松先生の文化勲章受章が発表され、本校から花束の贈呈が行われました。

講演後は質疑応答が行われ、5名の学生が質問をし、末松先生は優しいお言葉で一人ひとりの学生を激励されました。

講演される末松東京工業大学栄誉教授

式典・講演会終了後、『京王プラザホテル』に場所を移して記念祝賀会が開催され、来賓、同窓会関係者、教職員あわせて約300名が参加しました。東信彦長岡技術科学大学長、大西隆豊橋技術大学長の祝辞に続き、古屋校長の発声で乾杯を行いました。

途中、細野秀雄東京工業大学教授によるスピーチ、シャンソン歌手の南裕里子さん(本校情報工学科11期生)による歌の披露、本校教員による母校近況紹介、Imagine Cup 2012世界大会(ビルゲイツの発案で、マイクロソフト社が2003年から実施している180超の国と地域から約35万人の大学院生を含む学生が参加する学生ITコンテスト)で世界第2位の栄冠に輝いた卒業生によるプレゼン動画の映写、校歌の斉唱が行われ盛況の内に終了しました。

来賓の方々や、末松先生、ご助力いただいた同窓会の方々、多額のご寄附を頂いた皆様、後援会の方々に心より感謝致します。

〔校長式辞〕

本日は東京工業高等専門学校50周年記念式典にようこそお出でくださいました。ご来賓の皆様もお忙しい中、本当にありがとうございます。

私は50周年記念誌を読み、ご尽力された諸先輩に尊敬と感謝の念を強くいたしました。また将来に向け東京高専を発展させていくにはどうしたらよいか考えました。

1965年に東大総長の大河内委員長の下で選ばれた教職員34名と3学科学生126人で東京高専はスタートしました。教職員・学生が一丸となって行事を重ねる中で、高専教育の理念らしいものが解ってきたと岡初代校長は述べます。

大学入試準備の非能率をなくし1日1日が将来を築く教育、高専の使命は中堅技術者の養成とするも更に学問に徹し極めたい人には学問への道も開かれるべきだと述べます。

15歳で高専に進学した若者を中堅技術者に限定することなく、キャリアパスを自ら考え自由に選びとることができること、それによって若者の潜在能力を十分に発揮させるという考え方、これに基づいた柔軟な教育という理念です。

後に創設された長岡と豊橋の技術科学大学や大学の編入枠による進学の道によってこの理念は具現されます。これは将来も堅持すべきです。

1970年第1期卒業生は97名でした。卒業率は80%弱。入試倍率10倍以上を思うと驚きです。創設に尽力された有森教授が第二代校長になり第4期卒業式で述べます。

『実業界から本校卒業生に対する悪い評判は、殆ど聞かない。また大学に進学したのがこれまでに13名もおり他の高専と異なる。今春は東工大に編入学したものが2名も居ることは何だか心楽しい。』新しい学校種が創られ、最初の教育に携わり、卒業生の評価にとても敏感になっていらした、心配と安堵を感じます。

なお東工大編入者の内の1名は記念講演をされる末松先生の御弟子になりました。後で名前が出てくるかと思います。

最初の10年間で教育課程、進級卒業基準が形作られほぼ固定し、80%前後の卒業率は、つい1、2年前までそのまま続いていました。高専教育にぴったり合った学生さんたちは猛烈に勉強しました。教員たちが張り切って叱咤激励し、学生さんがそれに応えて頑張る姿が目に浮かびます。

1975年の創立10周年には川上東工大学長が記念講演し、創造の大切さと、自励型人間になれと話します。

中堅ではなく創造的技術者、さらに主体的に学べと40年前に言ってます。1976年に永井文部大臣が視察に訪れ、技術者という1つの狭いけれども具体的なチャンネルをもち、そこを通じて社会や人間について考えることで一般教養を身につけなさいとメッセージを贈ります。これこそ高専生に適した全人教育のスタイルです。

2004年国立高専の独立行政法人化では松本元校長の指揮の下で見事に法人化を達成します。2006年に就任の水谷前校長は老朽校舎を改修し学校を明るくし、八王子を学園都市として活性化するプロジェクトを遂行し東京高専は企画力を大幅にアップし1億円プレイヤーになります。東京高専の学生さんたちもコンテストで賞をとるなど元気です。学生が第一、学生の元気が一番大切です。

さて日本のものづくり産業は大きな変化の渦中です。この変化をチャンスにする高専生たちに育てたいです。そのためにイノベーション力をもつ技術者の養成を目指します。50周年の節目にいくつかの事業を行いました。

一つ目は文科省大学間連携共同教育推進事業であるKOSEN発”イノベーティブ・ジャパン”プロジェクトです。

このプロジェクトの一つの柱は、学生さんがユーザーさんと実際に向き合って、ユーザーさんに喜んでいただける技術を創り出す、社会実装プロジェクトです。これを先端的な教育の仕組みに作り上げました。

もう一つの柱は、高専卒業生約3,500名にご協力をいただいたキャリア調査です。調査結果を分析し、これまでの高専教育の良さ、改善点を見つけ、それを踏まえた高専教育課程の策定を行い、ますますよい高専教育に繋ぎます。

カリキュラムの抜本的な見直しを行いました。全校教学マネジメント委員会が教育目標に合わせてカリキュラム体系を設計し、授業内容を決め、その後で授業の担当教員を割り当て、一定期間毎に担当交代する体制を確立させました。

教育を絶えずアップデートできる体制です。社会実装教育も入っています。草創期からの留年退学問題にも解決の道をつけました。2014年度の卒業率は95%です。

皆様からいただきましたご芳志を活用し、現役学生さん同士とOBOG同士あるいは相互の交流が盛んになることを目指し、コミュニケーションのスペースを整備させていただきました。

50周年記念事業を行うにあたり、諸先輩、卒業生、在校生保護者、地域産業界、そして諸団体等の皆様のご理解とご協力に心から御礼申し上げます。

今後とも引き続きどうかよろしくお願い申し上げます。

東京高専がこれからの50年に向けてさらに発展することを祈念いたしご挨拶とさせていただきます。

50周年記念事業

東京高専が1965年(昭和40年)に開校し、2015年(平成27年)に50周年を迎えることとなりました。創立50周年を迎えるにあたって、その軌跡を祝うとともに、今後の更なる発展のために、「東京高専50周年記念事業」を挙行します。

本記念事業の趣旨をご理解いただき、創立50周年記念事業の成功と、今後の更なる発展のため、皆様方のご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

事業趣意書/賛同者

東京工業高等専門学校 創立50周年記念事業 趣意書

謹啓
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

平素は、本校の発展に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
来年度、本校は創立50周年を迎えます。

岡俊平初代校長が掲げた「どのような局面にも対処できる柔軟な心と いかなる困難も乗り切りうる強固な意志と あらゆる試練に耐えうる健全な身体とを持ち しかも人間として好ましい味と深みとのある人柄であり 必要な学問と技術との基礎を充分身につけていて いつでもどこでも自由に応用できる能力があり 長い一生を通じて限りなく伸び續けて行くことのできる潜在力のある人物を育成する」を教育方針として6,633名(平成25年度まで)を卒業生として世に送り出してきました。

そして平成20年には高等専門学校は目的がより高度化され「実践的・創造的技術者の養成」が期待されています。脱近代化社会への動きに伴い、ものづくり産業は急速に変化しております。

この変化を好機ととらえて卒業生が活躍できるように、本校は、創立時の教育方針を貫き、技術の継承・発展とともに、イノベーション創出を目指す技術者を養成してまいります。

さらにこの目標を確固としたものにする事業を実施することによって、50周年を意義ある節目にしたいと存じます。

創立50周年記念事業は、式典・講演会・祝賀会開催、50周年記念データベース構築と記念誌刊行、カリキュラム・リニューアルとイノベーティブ・エンジニア育成、教育研究支援を、本校と関係諸団体とが協力して実施します。

特に祝賀会は、東京高専同窓会をはじめ、東京高専後援会そして東京高専技術懇談会の方々の力で東京高専の歴史に刻むべく盛大に執り行いたいと存じます。

つきましては、諸先輩、卒業生、在校生保護者、地域産業界、そして諸団体等の皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

50周年を迎えるにあたり、ここまで築き上げてきた本校の誇りと慶びを皆様と分かち合い、将来に向けてさらに力を合わせることができますように祈念いたします。
謹白

独立行政法人国立高等専門学校機構
東京工業高等専門学校
創立50周年記念事業実行委員会
委員長 古屋 一仁(校長)
賛同者 正木 信男 (東京高専同窓会会長)
賛同者 新田  暁 (東京高専後援会会長)
賛同者 濱田 和幸 (東京高専技術懇談会会長)