校長より

校長 新保 幸一

 

東京工業高等専門学校のホームページをお訪ねいただき、ありがとうございます。校長の新保幸一から、本校の現状と教育改革への取り組みについて、その概要をお伝えします。

 

本校は1965年(昭和40年)に開校し、50年を超える歴史の中で約7,200名の本科卒業生と約360名の専攻科修了生を社会に送り出してきました。2017年(平成29年)3月には本科と専攻科合わせて229名が卒業・修了し、それぞれの進路を歩み始めました。本校では就職と進学の割合が概ね半数ずつとなっており、本科では91名が企業等に就職し、97名が本校専攻科や他大学の3年に進学しました。また、専攻科では13名が就職し、14名が大学院に進学しました。

 

本校を含め、高専卒業生に対する企業や大学の評価が極めて高いことは、皆様もお聞きになったことがあると思います。このことは、就職希望者に対する高い求人倍率、高専卒業生を採用した企業へのアンケート調査、進学先の大学関係者の声などで実証されており、高専教育が培った社会的な信頼と実績には確固たるものがあります。

 

では、どうして高専卒業生は企業や大学で高く評価されているのでしょうか。私は次のように考えます。高専卒業生は、5年間(専攻科を含めると7年間)の高専教育を通じて、専門知識を修得するのみならず、困難な課題に真摯に取り組む姿勢、問題解決へのプロセスを論理的に考える力、課題を的確に解決する実行力など、これからの技術者や研究者として必要な能力と資質を身に付けます。真摯な姿勢、論理的な思考力、的確な実行力。高専卒業生がこれらの能力と資質を備えていること。これが私の答えです。

 

近年、科学技術の急速な進展、少子高齢化、グローバル化の進展など高専を取り巻く環境は大きく変化し、高専卒業生に求められる資質や能力も大きく変わりました。本校では、このような変化に対応する教育改革の一環として、文部科学省の大学間連携共同教育推進事業として選ばれた「KOSEN発“イノベーティブ・ジャパン”プロジェクト」を実施しました。この事業は、本校を拠点に21高専が連携して実施したもので、「社会実装教育」の実践を通じて、イノベーションを実現しうる技術者を育成するプロジェクトです。

 

「社会実装教育」とは、社会の様々な課題に対するプロトタイプを試作し、それを実際の企業や公的施設で使用して評価していただき、その結果を改良に反映させるという一連の取組を高専の学生が主体的に実施するものです。学生たちはこのプロジェクトを体験することで、自ら考えて行動する力とユーザーと繋がる力を学びます。

このプロジェクトは2017年度(平成29年度)から次のステージに移り、カリキュラム化に向けた教材開発、授業設計、教員FD等に取り組むとともに、より幅広い方面への展開を図るため「社会実装教育コンテスト」を継続してまいります。我々は、この「社会実装教育」こそが高等教育の未来に欠かせないものと考え、さらなる進化を目指して意欲的な取り組みを続けていきます。

 

本校は、我が国の将来を担う優秀な技術者の育成を目指し、教職員一同、全力を挙げて学生の支援に努める所存です。今後も教育研究の質的向上、地域連携の強化、教育改革の実践等の努力を重ねてまいりますので、皆様のご理解とご支援を賜りますようよろしくお願いします。