校長メッセージ

校長の谷合俊一です。東京工業高等専門学校のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
本校は、1965年(昭和40年)に開校し、半世紀を越える歴史の中で、約8,400名の卒業生を社会に送り出してきました。2021年(令和3年)3月には、本科と専攻科合わせて210名が卒業・修了し、それぞれの進路を歩み始めました。このうち、本科では102名が企業等に就職し、81名が本科専攻科や他大学の3年次に進学しました。また、専攻科では9名が就職し、12名が大学院に進学しました。
高専卒業生に対する企業や大学の評価が極めて高いことは、皆様もお聞きになったことがあると思います。このことは、就職希望者に対する高い求人倍率、高専卒業生を採用した企業へのアンケート調査、進学先の大学関係者の声などで実証されており、高専教育がこれまで培ってきた社会的な信頼と実績には確固たるものがあります。
では、なぜ高専卒業生は企業や大学から高い評価を得ているのでしょうか。私は次のように考えます。高専卒業生は、5年間(専攻科を含めると7年間)の高専教育を通じて、専門知識を修得するだけでなく、困難な課題に真摯に取り組む姿勢、問題解決へのプロセスを論理的に考える力、課題を的確に解決する実行力など、これからの技術者や研究者として必要な資質・能力を身に付けます。この「真摯な姿勢」、「論理的な思考力」、そして「的確な実行力」。高専卒業生がこれらを身に付けていることこそが、高い評価につながっていると考えます。
本校の教育の特色についてご紹介します。近年、科学技術の進展、少子高齢化、グローバル化など、私たちを取り巻く環境は急速に変化しています。本校では、こうした状況に的確に対応できる人材を育成するため、「社会実装教育」に取り組んでいます。
「社会実装教育」とは、社会の様々な課題を解決するためのプロトタイプ(試作品)を作り、それを実際に企業や公的施設で使用して評価いただき、その結果を受けてさらに改良するという一連の取り組みを高専の学生が主体的に実施するものです。本校ではこれを4,5年次のカリキュラムに組み込んでおり、全学生が履修することになります。学生たちはこのプロジェクトを経験することで、自ら考えて行動する力とユーザーとつながる力を身に付けていきます。
このような本校の教育実践を進める中で、学生たちは、各種のコンテストでも目覚ましい活躍をみせています。これまでも高専ロボコン(ロボットコンテスト)で全国大会出場などを果たしておりますが、令和2年度には、高専プロコン(プログラミングコンテスト)全国大会において、最優秀賞・文部科学大臣賞を獲得しました。また、高専ディープラーニングコンテストにおいても最優秀賞を獲得しており、この学生たちはその後、副賞の起業資金を活用して自らベンチャー企業を設立しました。こうした各種コンテストについても、積極的に支援してまいります。
本校は、我が国の未来を担う優れた技術者の育成を目指し、教職員一同、全力を挙げて学生の支援に努めてまいります。また地域とともにある高専であり続けたいと願っています。保護者の皆様、地域の皆様をはじめ、関係の皆様におかれては、今後とも東京高専へのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。