平成29年度卒業式・修了式を挙行しました。

平成30年3月17日(土)、第49回卒業証書授与式及び第14回専攻科修了証書授与式を本校第一体育館にて挙行しました。
新保校長、ご来賓の皆様、教職員、保護者の方々に見守られる中、卒業生185名、修了生26名が本校から巣立ちました。

校長告辞

東京高専は、本年度も卒業証書・修了証書授与式の日を迎えました。

皆さん、卒業おめでとうございます。君たちのこれまでの研鑽の結果が今日の卒業に結実しました。これまでの努力に対し、教職員一同、心からお祝いの言葉を送ります。保護者の皆様、お子様たちのご卒業に当たり、心からの祝意を申し上げますとともに、これまでの本校へのご理解とご協力に対し、厚く御礼申し上げます。ご来賓の皆様、お忙しい中をおいでいただきありがとうございます。皆様からの数々のご支援に対し、感謝申し上げます。本日、このように多くの皆さんと一堂に会して卒業を祝う場を持てることは、校長としてたいへんうれしいことであり、改めて皆様に御礼申し上げます。

先ほど卒業証書と修了証書の授与を行いました。今年度は本科から185名が卒業し、専攻科から26名が修了します。本科の卒業証書番号は7,228号から始まり7,412号まで、専攻科の番号は331号から356号までとなっています。これは創設以来7200人を超える学生が本校を卒業したということであり、皆さんは先輩が培った社会的な信頼と実績を継承する者として、新たな道を進むことになります。

本校を含め、高専卒業生が就職先の企業や進学先の大学から高い評価をいただいていることは、皆さんもお聞きになったことがあると思います。これは求人倍率の高さや進学先の大学関係者の声などで実証されており、皆さんの先輩が作り上げた実績は確固たるものがあります。高専という学校制度は我が国独自のものですが、近年は多くの国々が高専の人材育成の成果に高い関心を示しており、高専と同じような学校を自国に創ろうとする国も現れました。いまや高専に対する高い評価は世界的な広がりを見せており、今後もこの傾向が加速すると考えています。

では、高専卒業生が企業や大学で高く評価される理由はどこにあるのでしょうか? この質問には様々な答えが考えられますが、私の答えは、高専卒業生が単に専門知識を身に着けるのみならず、課題解決のプロセスを論理的に考える力、課題を着実に解決する実行力、課題に真摯に取り組む姿勢など、これからの技術者や研究者として必要な能力と資質を身につけていることにある。私はこう考えています。

もっとわかりやすく言うと、高専卒業生は、企業や研究の場で「使える」人だから、一緒に仕事や研究をしたくなる人だから、上司から見て部下に欲しい人だから、部下から見て上司になってほしい人だから、企業の採用担当者がぜひ採用したい人だから、そして、人としてリスペクトできる人だから、ということです。

論理的な思考力、着実な実行力、真摯な姿勢。これらを備えた未来の技術者を育てることが本校のミッションであり、皆さんは毎日の授業や実験、定期試験、卒業研究などを通じて、これらの資質を身に着けているのです。本日、卒業証書や修了証書を手にしたことが何よりの証です。

と言われても皆さんには実感がないかもしれません。皆さんにとっては、本校で取り組んできたのは普通のこと、あたりまえのことだと思っていることでしょう。しかし、東京高専の普通は他の学校の普通ではありません。授業や実験の内容、全員参加のインターンシップ、卒業研究の水準、学会発表やコンテストでのプレゼンテーションなど、本校の現状を企業や行政の方々に説明すると、ほとんどの方が驚きの反応を見せます。皆さんにはあたりまえの行動や考え方が、これからの進路で出会う人たちをびっくりさせることでしょう。自分の能力や資質に自信を持って、これからの道を歩み始めてください。

皆さんが生きていく時代は、科学技術が急速に進化するとともに社会のシステムが大きく変化する時代です。斬新なアイデアに基づく新しい技術が次々と開発され、いずれ既存の知識を置き換えていくでしょう。より便利に、より快適に、より効率的に。様々な要望に応えるため、世界中の技術者や研究者が日々努力を重ねています。このような時代にこそ、論理的な思考力、着実な実行力、真摯な姿勢、これらを備えた未来の技術者が求められています。東京高専の卒業生は、社会が求めている未来の技術者として活躍するための準備を既に整えた優れた人材なのです。本校の卒業生であること、そして本校で身に着けた能力や資質を大いにアピールしてください。

さて、皆さんにとって、東京高専で過ごした「時間」はどうでしたか? 私は以前の入学式で、新入生の皆さんが私よりたくさんの「時間」を持っていることがうらやましいと述べました。そして、新入生の皆さんが本校でよい「時間」を過ごすことができたと思えるよう、教職員は全力で支援していくと述べました。

皆さんは、本校で十代後半という長い人生の中でもとりわけ大切な「時間」を過ごしました。皆さんはこの「時間」の中で多くのことを学び、大勢の先生や友人と出会い、様々なことを経験し、そして大きく成長しました。卒業を迎えた今日という日に、本校でよい「時間」を過ごすことができたと感じている学生が一人でも多いことを願っています。

以上、卒業・修了証書授与式に当たり、私の思うところを述べさせていただきました。皆さんのさらなる成長を願うとともに、皆さんの未来に心からの期待を込めて、私の告示を終わります。

 

平成30年3月17日

東京工業高等専門学校

校長 新保 幸一