平成28年度入学式・校長告辞
平成28年4月5日(火)、本校第1体育館にて、本科、専攻科入学式を挙行いたしました。この日、校長から入学許可宣言及び告辞があり、本科新入生202名、編入学・転入学生6名、専攻科新入生26名、計234名が、本校における新たな学生生活をスタートしました。
〔 入学許可宣言を受ける新入生 〕
〔 式場の様子 〕
【 校長告辞 】
学生の皆さん、保護者の皆様、御入学おめでとうございます。
お忙しい中を御出席いただきました御来賓の皆様、誠にありがとうございます。
私は、校長の新保幸一と申します。
古屋前校長の後任として、この4月から本校の校長を務めることとなりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、東京工業高等専門学校は、今年度、本科に202名の新1年生と、留学生(2名)を含む6名の編入学・転入学生、そして専攻科に26名の学生を迎えます。
新たに本校の仲間となる皆さん、様々な進路の中からこの東京高専を選んでいただき、誠にありがとうございます。
教職員一同、皆さんを心から歓迎するとともに、全力を挙げて皆さんを支援する決意を新にしています。
本校は、1965年(昭和40年)に開校し、昨年創立50周年を迎えました。
当初は機械工学、電気工学、工業化学(後に物質工学に名称変更)の3学科でスタートし、その後、電子工学、情報工学が設置され、現在の5学科体制になりました。また、2003年(平成15年)には3つの専攻(機械情報システム工学、電気電子工学、物質工学)を持つ専攻科が設置されました。
そして、これまで創立以来50年にわたる歴史の中で、約7,000名の本科卒業生と約300名の専攻科修了生を世に送り出してきました。
本校を含め、高専卒業生に対する企業や社会の評価が極めて高いことは、皆さんもお聞きになったことがあると思います。
このことは、就職希望者に対する求人倍率の高さや企業へのアンケート調査などでも実証されており、皆さんの先輩達の努力と実績には確固たるものがあります。
このように高専にはこれまでの歴史を通して培った社会的な信頼と実績があり、皆さんには将来に向けてこれらの信頼を継承する役割を担うことになります。
さて、ここからは、これから本校で学び始める皆さんに向けて、こんな学校生活を送ってもらえたらと考えていることを3つお話しします。
1つめは、自分の専門分野を持つということです。
皆さんは、これから主に工学の分野を学ぶことになりますが、未来の技術者として自分が得意な分野、興味関心が尽きない分野を持ってください。
学校においても、社会に出てからはより一層、様々な場面で判断や決断を求められることがあります。
そのような時、自分の専門分野を持っていることが大変重要であり、自信を持ってものごとを判断するための支えとなるはずです。
2つめは、自分の専門分野以外のことにも興味関心を持ってほしいということです。これは1つめと矛盾するようですが、そうではありません。
皆さんがこれから生きていく時代は、新しい技術や社会のシステムが早いスピードで変化する時代であり、未来の技術者にはこのような変化に対応していく能力が求められます。
自らの専門分野だけの知識や経験だけでなく他の分野へ興味関心を持つことは、変化に対応するために必要なだけでなく、専門分野の能力をより一層発揮することにも繋がると思います。
3つめは、周りの人と連携することです。
技術や社会のシステムが高度化・多様化する時代には、学校でも企業においても、1人で全てを行うことはまれで、グループやチームでの取り組みが基本となります。本校のカリキュラムにもチームで取り組む場面が数多くあります。
私は、連携の基本は相手の言っていることを聞くことから始まると考えています。饒舌な人、話し上手な人が連携に向いているとは必ずしも言えず、むしろ人と人を繋ぐためには聞く力が大切であると思います。
もちろん聞くだけではコミュニケーションにならないので、自分の考えや意見を伝えることも大切です。
以上、皆さんへの希望として3つのことをお話ししました。
1つめは、自分の専門分野を持つこと。
2つめは、専門分野以外のことにも興味関心を持ってほしいこと。
3つめは、周りの人と連携すること。
これからの学校生活で、時々思い出してみてください。
さて、ここでちょっと話題を変えて、皆さんに一つ質問してみようと思います。
問題です・・・
私は、今日、新入生の皆さんを見て、たいへんうらやましい気持ちになっています。その理由は皆さんがあるものを私よりたくさん持っているからなのですが、それは何でしょうか?
よろしければ、保護者の皆様も御一緒に考えてみてください。
私の答えは「時間」です。
説明するまでもなく、皆さんは私よりたくさんの時間を持っています。
皆さんは、本校で本科5年(専攻科の場合は2年)という「時間」を過ごすことになります。
これらの「時間」は、長い人生の内でもとりわけ大切な期間です。
未来の技術者として様々な知識やものの考え方を習得するとともに、学校生活や部活動などを通じて友人や先輩後輩を得ることができる時間です。
「時間」は皆さん一人一人に平等に与えられると考えられます。
しかし「時間」をどのように使うかは、皆さんが自ら決めて実行していくことです。何となく過ごすのも、何かに熱中するのも、皆さんが選ぶことができます。
そして、皆さんはいつの日か本校を卒業し、それぞれの進路に進むことになります。その時、本校でよい「時間」を過ごすことができたと思えるように、我々教職員は全力を挙げて皆さんを支援していきたいと考えています。
これから本校で過ごす「時間」が、皆さんにとって価値あるものとなるよう願っています。
最後になってしまいたいへん恐縮ですが、保護者の皆様、改めましてお子様達の御入学おめでとうございます。
東京高専は、皆様の大切なお子様をお預かりするに当たり、教職員一同、誠心誠意努めていく所存です。
どうか本校の取り組みに皆様の御理解と御協力をたまわりますよう、よろしくお願い申し上げます。
以上、入学式に当たり、私の思うところを述べさせていただきました。
これで私の告辞を終わります。
どうもありがとうございました。
平成28年4月5日
東京工業高等専門学校校長
新 保 幸 一