平成29年度入学式を挙行しました。

平成2945日(水)、本校第1体育館にて、本科、専攻科入学式を挙行いたしました。

この日、校長から入学許可宣言及び告辞があり、本科新入生205名、編入学・転入学生8名、専攻科新入生27名、計240名が、本校における新たな学生生活をスタートしました。

 

校長告示

本科新入生の皆さん、留学生を含む編入学・転入学の皆さん、そして専攻科新入生の皆さん、入学おめでとうございます。あなたたちの努力の結果が、今日の入学に結実しました。その努力に対し、心からお祝いの言葉を送ります。
保護者の皆様、お子様たちのご入学に当たり、心からの祝意を申し上げます。ご来賓の皆様、お忙しい中をお祝いに駆けつけていただきありがとうございます。

さて、東京高専は、今年度、本科に205名の新入生と留学生5名を含む8名の編入学・転入学生、そして専攻科に27名の新入生を迎えます。新たに本校の仲間となる皆さん、様々な進路の中からこの東京高専を選んでいただき誠にありがとうございます。教職員一同、皆さんを心から歓迎するとともに、全力を挙げて皆さんを支援する決意を新たにしています。

本校は1965年(昭和40年)に創設され、52年の歴史の中で約7,200人の本科卒業生と約360名の専攻科修了生を世に送り出してきました。本校を含め、高専卒業生に対する企業や大学の評価が高いことは、皆さんもお聞きになったことがあると思います。このことは、求人倍率の高さ、企業へのアンケート調査、進学先の大学関係者の声などで実証されており、皆さんの先輩が作り上げた実績には確固あるものがあります。高専教育にはこれまでの歴史を通じて培った社会的な信頼があり、皆さんは将来に向けてこの信頼を継承する役割を担うことになります。

皆さんは、本日東京高専に入学したわけですが、同時に全国約5万人の高専生の仲間入りをしたことも忘れないでください。全国には国立51校、公立3校、私立3校の高専があり、毎年1万人を超える新入生を受け入れています。全国の高専生とは、ロボットコンテスト、プログラムコンテスト、体育大会などで競い合うライバルですが、それよりも同じ高専教育を学ぶ仲間だということを大切にしたいと思います。中学校卒業生のうち高専に入学する割合は1%程度と言われますが、理系分野それも工学分野に進む学生を分母とすれば、この割合はもっと多くなります。全国で学生数5万人、新入生1万人は決して少ない数ではありません。どうか、東京高専の学生であるとともに、全国の高専生の一員であり、多くの仲間がいることを忘れずにいてください。

さて、ここからは、本校で学び始める皆さんに向けて、心に留めておいてほしいと考えていることを3つお話しします。

1つめは、自分の専門分野を持つことです。
自分の得意な分野、興味関心が尽きない分野を持つことは、自らの自信に繋がります。様々な場面で判断や決断を求められる時、自分の専門分野を持っていることは、自信を持ってものごとを判断するための支えになるはずです。

2つめは、専門分野以外のことにも興味関心を持つことです。
皆さんの時代は、新しい技術や社会のシステムが早いスピードで変化し、新たな概念や価値観が次々に生まれる時代です。未来の技術者はこのような変化に対応する必要があり、専門分野の知識や経験に留まることなく他分野を含めた広い視野を持つことが大切です。他分野の視野を持つことは専門分野の能力を高めることにも繋がります。

3つめは、周りの人たちと連携することです。
技術や社会のシステムが高度化・多様化する時代には、学校でも企業でも1人で全てを行うことはほとんどなく、グループやチームで取り組むのが基本です。本校の授業や実験でもチームで取り組む場面や、自分の成果を発表する機会が数多くあります。未来の技術者には、専門的な技術力に加えて、周りの人と繋がる能力、相手の意向を聞き自分の意思を伝える能力が大切なことを意識してください。

以上、皆さんへの希望として3つのことを話しました。

1つめは自分の専門分野を持つこと。
2つめは専門分野以外にも興味関心を持つこと。
3つめは周りの人たち連携すること。

これからの学校生活の中で、時々思い出してみてください。

 

さて、ここでちょっと話題を変えて、皆さんに一つ質問をしようと思います。

問題です・・・。私は、今日、新入生の皆さんを見て、たいへんうらやましい気持ちになっています。その理由は、皆さんがあるものを私よりたくさん持っているからなのですが、それは何でしょうか? よろしければ、保護者の皆様もご一緒に考えてみてください。

私の答えは「可能性」です。
説明するまでもなく、皆さんは私よりたくさんの可能性を持っています。もちろん私とて可能性が全くないわけではありませんが、皆さんの可能性が私の可能性より圧倒的に多いことは明らかです。
皆さんが本校で過ごす5年間(専攻科は2年)は、長い人生の中でもとりわけ大切な期間であり、その間に様々な可能性に遭遇することでしょう。先生や友人に出会う可能性、新たな知識に出会う可能性、失敗も成功も含む様々な体験をする可能性、初めての場所や初めての人に出会う可能性。これら全ての可能性が皆さんを成長させることでしょう。

私は、可能性は皆さん一人一人に平等に与えられると考えています。しかし、可能性をどのように捕まえるかは、皆さんが自ら決めて実行することです。何となくほんやり過ごすのも、何かに熱中するのも、皆さんは自分で選ぶことができるのです。

そして、皆さんはいつか本校を卒業し、それぞれの進路を進むことになります。その時に本校で良い可能性を体験することができたと思えるよう、我々教職員は全力を挙げて皆さんを支援していきたいと考えています。これから本校で遭遇する可能性が、皆さんにとって価値あるものとなるよう願っています。

最後になってしまい大変恐縮ですが、保護者の皆様、改めましてお子様たちのご入学おめでとうございます。東京高専は、皆様の大切なお子様をお預かりするに当たり、教職員一同、誠心誠意努めていく所存です。どうか本校の取組に皆様のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

以上、入学式に当たり、私の思うところを述べさせていただきました。
これで私の告示を終わります。どうもありがとうございました。

 

平成29年4月5日

      東京工業高等専門学校

                校長  新保 幸一