平成28年度卒業式・修了式を挙行しました。
平成29年3月18日(土)、第48回卒業証書授与式及び第13回専攻科修了証書授与式を本校第一体育館にて挙行しました。
新保校長、ご来賓の皆様、教職員、保護者の方々に見守られる中、卒業生202名、修了生27名が本校から巣立ちました。
校長告示
東京高専は、本年度も卒業証書・修了証書授与式の日を迎えました。
学生の皆さん、君たちのこれまでの研鑽の結果が、今日の卒業に結実しました。
その努力に対し、教職員一同、心からお祝いの言葉を送ります。
保護者の皆様、お子様たちのご卒業に当たり、心からの祝意を申し上げますとともに、これまで本校への様々なご協力に対し、深く御礼申し上げます。
ご来賓の皆様、お忙しい中をお祝いに駆けつけていただきありがとうございます。
皆様からの本校へのご支援の数々に対し、感謝申し上げます。本日、このように多くの皆さんと一堂に会して卒業を祝う場を持つことができることは、校長としてたいへんうれしいことであり、改めて皆様に御礼申し上げます。
さて、先ほど卒業証書と修了証書の授与を行いました。今年度は、本科から202名が卒業し、専攻科から27名の学生が修了します。
本科卒業生の卒業証書番号は、7,026号から始まり7,226号までとなっています。
これは、創設から50年を超える歴史の中で、7,000人を超える学生が本校を卒業したということで、皆さんの先輩は社会の様々な分野で活躍しています。
本校を含め、高専教育にはこれまでの歴史を通じて培った社会的な信頼があり、皆さんはこれらの信頼を継承する者として、新たな道を進むことになります。
本校を含め、高専卒業生に対する企業や大学などの評価が極めて高いことは、皆さんもお聞きになってたことがあると思います。このことは、就職希望者に対する求人倍率の高さ、企業へのアンケート調査、進学先の大学関係者の声などで実証されており、皆さんの先輩が作り上げた実績には確固あるものがあります。
では、どうして高専卒業生は、企業や大学で高く評価されているのでしょうか?
模範解答は、「高専卒業生は専門知識を身に着け、仕事に誠実だから。」でしょうか。
私の答えは少し違います。皆さんは、高専教育を通じて専門知識を身に着けましたが、これにも増して大切なのは、様々な課題に真摯に取り組む姿勢、解決へのプロセスを論理的に考える力、課題を的確に解決する実行力など、これからの技術者や研究者として必要な能力と資質を身に着けているから。私はそう考えます。
真摯な姿勢、論理的な思考力、的確な実行力。これらを備えた学生を育てることが東京高専のミッションであり、皆さんは、毎日の授業や実験、課題提出、定期試験、卒業研究などを通じて、これらの資質を身に着けているのです。
本日、卒業証書や修了証書を手にしたことが何よりの証です。
と言われても実感ないかもしれません。それは皆さんにとっては、東京高専で行われる教育研究活動は普通のことだからです。しかし、本校で普通に行われている事は、他の学校や社会の普通ではありません。
例えば、授業や実験の内容、インターンシップの充実度、卒業研究の水準など、高専教育の現状を企業や行政の方々に説明すると、ほとんどの方が驚きの反応を見せます。
皆さんにはあたりまえの行動や考え方が、これからの進路で出会う人たちをびっくりさせることでしょう。皆さんは、本校で身に着けた自らの能力や資質に、学校を離れてから気づくことになるかもしれません。どうか自分の能力や資質に自信を持って、これからの道を歩み始めてください。
さて、ここからは、本校を卒業する皆さんに向けて、心に留めておいてほしいと考えていることを3つお話しします。
1つめは、自分の専門分野を持つことです。
自分の得意な分野、興味関心が尽きない分野、誰よりも詳しい分野を持つことは、自らの自信に繋がります。皆さんは、企業でも大学でも、様々な場面で判断や決断を求められることでしょう。時には、自分の判断が企業活動や研究遂行に大きく影響したり、多くの人に関係することもあるでしょう。そんな時、自分の専門分野や得意分野を持っていることはとても重要で、自信を持ってものごとを判断するための支えになるはずです。
2つめは、専門分野以外のことにも興味関心を持つことです。
皆さんの時代は、新しい技術や社会のシステムがこれまで以上に早いスピードで変化する時代であり、新たな概念や価値観が次々に生まれる時代です。
未来の技術者はこれらの変化に対応していく必要があり、専門分野の知識や経験に留まることなく、他の分野を含めた広い視野を持つことが大切です。
1つめと矛盾するようですが、そんなことはありません。他分野の視野を持つことは、変化に対応するのみならず、専門分野の能力を高めることにも繋がります。
3つめは、これからも学ぶ意欲と学びの姿勢を持ち続けてほしいことです。
本校を卒業したからといって勉強が終わりません。技術者や研究者には常に新しい知見や情報が必要であり、先生から与えられた課題を学ぶことから、自ら課題を設定し解決方法を考える取り組みに変化していく必要があります。
本校を卒業する皆さんは、専門知識のみならず、未来の技術者に必要な能力や資質を身に着けていますので、これからも学びの意欲や姿勢を持ち続けてほしいと思います。
以上、3つのことを話しました。
1つめは自分の専門分野を持つこと。2つめは専門分野以外にも興味関心を持つこと。3つめは学ぶ意欲と学ぶ姿勢を持ち続けること。
これからの進路の中で、時々思い出してみてください。
これからの時代、専門的な知識は次々と新しいものが登場し、いずれ既存の知識を置き換えていくことでしょう。このような時代にこそ、真摯な姿勢、論理的な思考力、的確な実行力、これらを備えた未来の技術者や研究者が求められているのです。
どうか、東京高専の卒業生であること、ここで身に着けた能力や資質をアピールしてください。皆さんのアピールは、必ず今後の進路で出会う人たちに届くはずです。
さて、皆さんにとって、東京高専で過ごした「時間」はどうでしたか?
私は4月の入学式で、新入生に向かって、これから本校で過ごす「時間」が一人一人にとって価値あるものとなるよう願っていると述べ、そのため教職員は全力を挙げて支援していくと述べました。皆さんは、10代の後半という人生でとりわけ大切な5年間(専攻科は7年間、留学生は3年間)を、この東京高専で過ごしました。
皆さんは多くのことを学び、多くの先生や友人と出会い、多くのことを経験し、そして大きく成長しました。卒業を前に、本校でよい「時間」を過ごすことができたと感じている学生が、一人でも多いことを願っています。
以上、卒業・修了証書授与式に当たり、私の思うところを述べさせていただきました。
これからの皆さんの成長を願うとともに、皆さんの未来に心からの期待を込めて、私の告示を終わります。
平成29年3月18日
東京工業高等専門学校
校長 新保 幸一