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平成30年度卒業式・修了式を挙行しました。

平成30年度卒業式・修了式を挙行しました。

平成31年3月16日(土)、第50回卒業証書授与式及び第15回専攻科修了証書授与式を本校第一体育館にて挙行しました。
新保校長、ご来賓の皆様、教職員、保護者の方々に見守られる中、卒業生192名、修了生25名が本校から巣立ちました。

 

校長告辞

東京高専は、本年度も卒業証書・修了証書授与式の日を迎えました。

皆さんのこれまでの研鑽の結果が、今日の卒業に結実しました。その努力に対し、本校教職員を代表して、心からお祝いの言葉を送ります。本日、このように多くの皆様と一堂に会して卒業を祝う場を持つことができることは、校長としてたいへんうれしいことであり、会場の皆様に御礼申し上げます。

保護者の皆様、お子様たちのご卒業に当たり心からの祝意を申し上げますとともに、これまで本校への様々なご協力に対し、深く御礼申し上げます。ご来賓の皆様、お忙しい中をご参列いただきありがとうございます。皆様からの本校へのご支援の数々に対し感謝申し上げます。

先ほど卒業証書と修了証書を授与しました。今年度は、本科から一九二名が卒業し、専攻科から二五名が修了します。本科の卒業証書番号は七四一七号から始まり七六〇八号まで、専攻科の番号は三五八号から三八二号までとなっています。これは五十年を超える本校の歴史の中で七、四〇〇人を超える学生が卒業したということで、皆さんの先輩は社会の様々な分野で活躍しています。

高専卒業生に対する企業や大学などの評価が極めて高いことは、就職希望者に対する求人倍率の高さ、企業へのアンケート調査、進学先の大学関係者の声などで実証されており、皆さんの先輩が作り上げた実績には確固たるものがあります。高専教育にはこれまでの歴史を通じて培った社会的な信頼があり、皆さんはこれらの信頼を継承する者として新たな道を進むことになります。

これから皆さんが生きていく時代は、科学技術がより進化し、社会のシステムが大きく変化する時代です。斬新なアイデアに基づく新しい技術が次々と開発され、既存の知識を置き換えていくとともに、新たな価値を生み出していくことでしょう。例えば、AIやロボットの技術革新によって、これまで人間にしかできないと思われていた仕事を機械に代替させることが可能になり、近い将来、人間の仕事の多くを機械が行うことになるだろうという未来予測があります。イギリスの某大学の先生が二〇一三年に公表したもので、十年~二十年程度のうちに自動化される可能性が高い仕事が全体の約半分(四七%)という内容です。

この論文が注目を集めた理由は、分析結果が衝撃的だったのに加え、将来自動化される可能性を膨大なデータを用いて定量的に分析し、結果を数値化したことにあります。数値の裏付けを伴う指摘はとても説得力があるものです。また、著者が経済学や社会学の研究者でなく、機械学習の専門家だった(著者はエンジニアリング・サイエンス学部の准教授)ことも新鮮で、過去の類似報告とは異なるインパクトを与えました。我が国でも多くのメディアが取り上げ、特に人間の仕事の多くが機械に取って代わるという部分に関心が集中しました。

しかし、著者が伝えたいのは将来の不安ではなく、新たな可能性と創造性の重要性。私はそう考えています。論文のまとめの部分で、これからの時代に必要なのは、新しいアイデアやものを創り上げる能力(創造力)と、相手と交渉したり説得したりする能力(ソーシャル・スキル)であると述べているのです。同じ著者が、二〇〇〇年代のヨーロッパでは約一〇〇〇万人の雇用が自動化されたが、波及効果と需要増加により、失われた人数を上回る新たな雇用が創出されたという分析結果を公表していることからも、このことがわかります。

我々が高専教育で目指してきたのは、まさに新しいアイデアやものを創り上げる能力(創造力)と、相手と交渉や説得をする能力(ソーシャル・スキル)を備えた未来の技術者を育てることです。つまり、高専の卒業生はこれからの時代に必要な能力と資質を備えた人材ということなのです。

皆さんは、授業や実験、課題の提出、卒業研究、研究発表などを通じて、これからの技術者として必要な能力と資質を身に着けているのです。課題解決のプロセスを論理的に考える力、課題を解決する実行力、課題に真摯に取り組む姿勢、この三つを備えた人材ということです。本日、卒業証書や修了証書を手にしたことが何よりの証です。

どうか東京高専で身に着けた能力や資質をアピールしてください。皆さんのアピールは、これから出会う人達をびっくりさせることでしょう。自分の能力や資質に自信を持って、それぞれの進路を歩み始めてください。そして、これからも知識への意欲と学ぶ姿勢を持ち続けてほしいと思います。

皆さんは、十代の後半という長い人生でもとりわけ大切な五年間(専攻科生は七年間、留学生は三年間)をこの東京高専で過ごしました。皆さんは多くのことを学び、多くの先生や友人と出会い、多くのことを経験し、そして大きく成長しました。皆さんにとって、東京高専で過ごした「時間」はどうでしたか。卒業のこの時に、本校でよい「時間」を過ごすことができたと感じている学生が一人でも多いことを願っています。

これからの皆さんの成長を願うとともに、皆さんの未来に心からの期待を込めて、私の告示を終わります。

平成三十一年三月十六日

東京工業高等専門学校
校長  新保 幸一